杉並区でお墓の墓じまいを検討している方へ、この記事では手続きの流れ・費用の目安・補助金の有無・供養先の選び方まで、杉並区ならではの情報をもとにわかりやすく解説します。
2020年の国勢調査によると、杉並区では全世帯の58.6%が単身世帯です(全国平均38.0%)。全国平均を20ポイント以上上回るこの数字は、「将来お墓を引き継ぐ人がいない」「自分一人でお墓の管理を続けるのが難しくなってきた」という状況を抱えた方が多いことを示しています。「手続きが複雑そう」「費用がいくらかかるか不安」という方も、正しい順番で進めれば一つひとつは着実に対応できます。この記事を読めば、杉並区で墓じまいを進めるために必要な情報がひととおりわかります。
墓じまい全体の流れについては、墓じまい完全ガイドもあわせてご覧ください。

なぜ今、杉並区で墓じまいが増えているのか
東京都全体では2023年度に約14,950件の改葬(遺骨の移転)が行われており、全国166,886件のうち約9%が東京都内で発生しています。杉並区でも承継者の問題や生活スタイルの変化を背景に、墓じまいを検討する方が増えています。特に杉並区は東京23区の中でも単身世帯率が際立って高く、「後継者がいない」という問題が非常に顕著です。

単身世帯率58.6%・後継者不在が切実な問題
2020年の国勢調査によると、杉並区の単身世帯率は58.6%(全国平均38.0%)。全世帯の半数以上が一人暮らしで、全国平均を20ポイント以上上回っています。50〜54歳時点の生涯未婚率も24.2%(全国平均19.7%)と全国平均を4ポイント以上上回っており、「自分の代でお墓を終わりにしたい」と考える方が多い地域です。
「自分が亡くなった後、お墓を継いでくれる人がいない」という不安は、杉並区では特に現実的な問題として多くの方が抱えています。無縁墓になる前に、生前のうちに墓じまいを済ませておこうと動き出す方が増えています。
人口増加が続く中、家族構成は大きく変化している
杉並区の人口は2015年から2020年にかけて4.81%増加しており(全国平均は0.75%の減少)、若い世代が集まる活気ある地域です。JR中央線・総武線・丸ノ内線・東西線など交通の便が良く、文化・住環境ともに人気が高いエリアです。しかし人口増加の主体は単身・少人数世帯の流入であり、核家族化率は38.5%(全国平均54.1%)と全国平均を大きく下回っています。これは多様な世帯構成(単身世帯の多さ)を反映した数字で、「三世代でお墓を守る」という形が成り立ちにくい環境が広がっています。
子供に苦労させたくなかったので、墓じまいをしました。
墓じまい経験者東京都・52歳・女性
高齢化率21.0%・今のうちに備える意識の高まり
杉並区の高齢化率は21.0%(全国平均28.7%)と比較的低く、比較的若い区と言えます。しかしこれは、現在の60〜70代が「まだ動ける今のうちに墓じまいを整理しておこう」と考えるタイミングでもあります。杉並区は高齢者向けの福祉サービスも充実していますが、お墓の管理という問題は行政サービスでは対応しきれないため、家族・個人で早めに対処する必要があります。「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、自分が元気なうちに墓じまいを進める方が増えています。
杉並区での墓じまいの流れ
墓じまいは「①家族への相談→②お寺・霊園への連絡→③改葬先の確保→④行政手続き→⑤お墓の解体→⑥納骨」という順番で進めます。この順番を守ることが、手続きのつまずきを防ぐ最大のポイントです。

① 家族・親族への相談(全員の合意が最優先)
最初のステップは、お墓に関わる家族・親族全員への相談です。墓じまいはお墓という共有の場所に関わる話であるため、一人の判断で進めると後々トラブルになることがあります。特に「お墓の祭祀承継者」と呼ばれる、法的にお墓の権利を持つ方の同意が不可欠です。杉並区は単身世帯が多く、「自分以外に相談できる家族が少ない」という方も多いかもしれませんが、遠方に住む兄弟姉妹や親戚がいる場合は必ず連絡を取り、全員の理解を得てから進めましょう。
② お寺・霊園への連絡と離檀手続き
現在のお墓がお寺の境内(寺院墓地)にある場合は、住職に墓じまいの意向を伝えます。「後継者がいない」「管理が難しくなってきた」など事情を誠実に伝えることが円満な墓じまいへの近道です。杉並区内には真言宗・禅宗系など様々な宗派のお寺があります。宗派によって離檀の慣習が異なることもありますので、まずは電話で相談の場を設けるお願いをするとよいでしょう。民間霊園・公営墓地の場合は管理事務所へ連絡して返還手続きを確認します。
③ 改葬先の確保(杉並区での手続きを進める前に必須)
改葬先を先に決めておくことが重要です。杉並区への改葬許可申請には、新しい供養先が発行する「受入証明書または使用許可書」が必要になります。供養先が決まっていない状態では申請を進めることができません。永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など、どの方法にするかを先に決めて書類を入手してから、行政手続きへ進みましょう。
④ 杉並区への改葬許可申請
改葬先が決まったら、杉並区の窓口に改葬許可申請を行います。申請書に必要事項を記入し、必要書類を揃えて窓口へ提出します。交付される「改葬許可証」は、遺骨を取り出す際に現在の墓地管理者に提示する重要な書類です。詳しい手続きは次の章で解説します。
⑤ 閉眼供養(魂抜き)とお墓の解体・撤去
改葬許可証が交付されたら、お墓の解体・撤去を石材店に依頼する前に、お寺で閉眼供養(魂抜き)を行うのが一般的です。閉眼供養を行うことで、仏様・ご先祖様に対してお墓を移す意向を伝え、区切りをつけます。その後、石材店がお墓を解体・撤去し、遺骨を取り出して収骨します。石材店は複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。
⑥ 新しい供養先への納骨・手続き完了
遺骨を取り出したら、改葬許可証を新しい供養先に提出し、納骨を行います。これで墓じまいの一連の手続きはすべて完了です。新しい供養先での開眼供養(入魂式)の手配も事前に進めておきましょう。
墓じまいの各ステップは墓じまいの流れを8ステップで解説もご参照ください。
杉並区での改葬許可申請の手続き
遺骨を別の場所に移すには、墓地埋葬法に基づいて「改葬許可申請」を市区町村の窓口に提出し、「改葬許可証」を取得する必要があります。この手続きを省略すると違法になりますので、必ず正式に申請してください。
担当窓口と問い合わせ先
杉並区では、区民部 住民課が改葬許可申請の担当窓口です。まずは電話で書類の準備について確認してから窓口に向かうと、書類不備を防ぐことができます。杉並区役所本庁のほか区内に複数の窓口がありますが、改葬許可申請については担当窓口を事前に確認することをおすすめします。
なお杉並区には区立の「和田堀廟所」がありますが、ここは墓地としての管理施設であり、改葬許可申請の受付窓口ではありません。改葬許可申請は区民部 住民課に行います。
杉並区役所 区民部 住民課 TEL 03-5307-0624

詳細・申請書は杉並区公式サイト(改葬許可申請)からご確認ください。
なお、改葬許可申請の窓口は「遺骨が現在埋葬されている墓地の所在地を管轄する市区町村」です。杉並区外の墓地に埋葬されている場合は、その墓地がある市区町村へ申請します。
必要書類の詳細
① 改葬許可証交付申請書
杉並区のホームページからダウンロードできます。申請書には、故人の氏名・死亡年月日・現在の埋葬場所・改葬先などを記入します。現在の埋葬先(お寺や霊園の管理者)による署名・捺印が必要になる場合がありますので、事前にお寺・霊園側に確認しておきましょう。
② 改葬先の受入証明書または使用許可書
新しい供養先が発行する書類です。永代供養墓・納骨堂・樹木葬などの場合はその施設が発行します。この書類がないと申請が進められないため、必ず改葬先を決めて書類を入手してから手続きに入ることが前提になります。
③ その他(求められる場合がある書類)
墓地使用許可証の写しや、申請者と故人の続柄がわかる戸籍謄本などを求められる場合があります。事前の電話確認で必要書類を正確に把握しておきましょう。
申請から許可証交付までの流れと注意点
必要書類を揃えて窓口に提出すると、通常は当日または数日以内に改葬許可証が交付されます。書類に不備があると再度窓口へ足を運ぶことになるため、事前の電話確認が大切です。
手続きの面倒さがあり書類不備などで何度も足を運んでいた。
墓じまい経験者奈良県・54歳・女性
書類の準備や手続きの進め方に不安がある場合は、改葬許可申請書の作成について行政書士に相談する方法もあります。
杉並区の墓じまい費用の目安
墓じまいにかかる費用は、大きく「①離檀料」「②石材店への解体・撤去費用」「③改葬先への費用」の3つに分かれます。それぞれの相場を確認しておきましょう。

① 離檀料(お寺のお墓の場合)
お寺の境内にお墓がある場合、檀家をやめる際に3〜20万円程度のお布施が発生するのが一般的な目安です。離檀料はあくまでお布施の性格を持つものであり、高額な離檀料を一方的に求められた場合でも法的な支払い義務はありません。住職と誠実に話し合うことが大切です。民間霊園・公営墓地のお墓には発生しません。
離檀に関する詳細は檀家をやめる手続きや離檀料とはもあわせてご参照ください。
② 石材店への解体・撤去費用(相見積もりが必須)
墓石の解体・撤去にかかる費用の全国的な相場は10〜40万円程度ですが、石材店によって1.5〜2倍程度の価格差が生じることがあります。東京都内では作業スペースが狭いケースも多く、地方より高めになる傾向があります。また、墓石のサイズ・重量・設置場所によっても費用が変わります。
当サイトの調査(墓じまい実態調査2026(墓じまいパートナーズ)、2026年3月、経験者n=52)では、解体・撤去費用として「10万円未満」と「30〜50万円」がそれぞれ19.2%で最多でした。費用の幅が非常に広いため、必ず複数社(最低2〜3社)から相見積もりを取り、内訳を比較することをおすすめします。
③ 改葬先(新しい供養先)への費用
永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など、選ぶ供養先によって数万円〜数百万円以上と幅があります。合祀型の永代供養や散骨は比較的費用を抑えやすく、個別のお墓や豪華な施設の納骨堂を選ぶ場合は費用が上がります。アクセスのよさ・管理の手間・宗教的な要件なども含めて総合的に判断しましょう。
総額の目安と費用を抑えるヒント
これら3つを合わせた総額は30〜150万円程度が目安です。石材店の相見積もりで解体費用を抑えることと、合祀型の供養先を選ぶことが費用を大きく左右します。費用の詳細は墓じまい費用はいくら?および墓じまいの費用を抑える方法もご参照ください。
杉並区の補助金と都立霊園の施設変更制度
墓じまいの費用に関して、公的な補助が受けられないかと気になる方も多いと思います。ここでは補助金の有無と、東京都独自の制度についてご説明します。
杉並区に墓じまい専用の補助金はない
2026年時点で杉並区には墓じまい専用の補助金制度はありません。東京23区全体として、墓じまいに対する独自の助成制度は設けられていない状況です。杉並区には区立の「和田堀廟所」がありますが、これは区立の墓地管理施設であり、墓じまいの補助金を提供している施設ではありません。最新情報は杉並区公式サイトでご確認ください。
都立霊園の「施設変更制度」という選択肢
杉並区内には都立霊園はありませんが、東京都立霊園(小平霊園・多磨霊園・八柱霊園・青山霊園・谷中霊園・染井霊園・雑司ヶ谷霊園)の一般墓地をお持ちの方は、東京都の「施設変更制度」を利用することができます。杉並区から比較的アクセスしやすい都立霊園として、小平霊園(東村山市・小平市)や多磨霊園(府中市)があります。
施設変更制度とは、都立霊園の一般墓地の使用権を返還し、同じ霊園内の合葬施設(合同で埋葬する施設)に遺骨を移す制度です。墓石の解体・撤去費用は自己負担になりますが、合葬施設への移転費用が通常より抑えられる場合があり、「後継者がいないが都立霊園にお墓がある」という方にとって有力な選択肢です。詳細は各霊園の管理事務所にお問い合わせください。
墓じまい後の供養先の選び方
墓じまい後の遺骨の行き先として、大きく4つの選択肢があります。それぞれの特徴を把握した上で、費用・アクセス・宗教的な要件・将来の管理のしやすさを総合的に判断しましょう。
永代供養墓――承継者がいなくても安心
永代供養墓とは、お寺や霊園が永代にわたって供養・管理してくれる埋葬形態です。家族が管理する必要がなく、承継者が不要なため「自分の代で終わりにしたい」「子どもに負担をかけたくない」という方に選ばれています。合祀型(他の方と一緒に埋葬)と個別型があり、費用は数万円〜数十万円程度が目安です。杉並区周辺にも多くの施設があります。詳しくは墓じまい後の永代供養をご参照ください。
納骨堂――屋内で管理の手間なし
納骨堂とは、建物の中に遺骨を収蔵する施設です。屋内のためお墓の掃除や草むしりが不要で、管理の手間がかかりません。杉並区はJR中央線・丸ノ内線・東西線など交通の便が良く、アクセスのよい納骨堂が都内各所に多くあります。費用は数万〜数百万円程度と幅があります。詳しくは墓じまい後の納骨堂をご参照ください。
樹木葬――自然の中で眠りたい方へ
樹木葬とは、樹木を墓標として遺骨を土に還す自然葬の一形態です。墓石を建てる必要がなく、自然の中に還るというイメージから近年人気が高まっています。杉並区から近い多摩地区・埼玉方面にも多くの樹木葬霊園があります。費用は10〜100万円程度と幅があります。詳しくは墓じまい後の樹木葬をご参照ください。
散骨――費用を抑えたい方・自然志向の方へ
散骨とは、遺骨を粉骨した上で海や山などに撒く方法です。お墓という形にこだわらず、自然に還りたいという方に選ばれています。費用は5〜30万円程度と比較的抑えやすく、東京湾での海洋散骨も行われています。詳しくは墓じまい後の散骨をご参照ください。
時代の流れでいろいろな供養の仕方がある。他人より自分または家族にとって1番良い方向に。
墓じまい経験者東京都・59歳・男性
どの方法が合っているかは費用・アクセス・宗教的なご要望・将来の管理のしやすさによって異なります。複数の選択肢を比較しながらご家族で話し合って決めることをおすすめします。
お墓の管理の手間が無くなりましたし維持費などの費用を大幅に抑えることが出来るようになったので、以前に比べて精神的に楽になって墓じまいを行って良かったと思います。自宅から通いやすい場所にある納骨堂なので休日に気軽に参拝できます。
墓じまい経験者大阪府・50代・男性
よくある質問
Q1. 杉並区での改葬許可申請は自分でできますか?
はい、ご自身で申請できます。杉並区役所 区民部 住民課(TEL 03-5307-0624)が窓口で、必要書類は①改葬許可証交付申請書②改葬先の受入証明書が基本です。事前に電話で必要書類を確認してから窓口へ向かうと手続きがスムーズです。書類の準備に不安がある場合は、行政書士に相談する方法もあります。
Q2. 杉並区での墓じまい費用はいくらかかりますか?
離檀料(お寺のお墓の場合)・石材店への解体費用・改葬先への費用を合わせると、30〜150万円程度になるケースが多いです。当サイトの調査(経験者n=52)では、解体・撤去費用は「10万円未満」と「30〜50万円」がそれぞれ19.2%で最多でした。複数の石材店から相見積もりを取ることで費用を抑えられる場合もあります。
Q3. 杉並区に墓じまいの補助金はありますか?
2026年時点では、杉並区に墓じまい専用の補助金制度はありません。都立霊園(小平霊園・多磨霊園など)にお墓がある場合は、都の施設変更制度を利用できる可能性があります。最新情報は杉並区公式サイトでご確認ください。
Q4. 一人暮らしでも墓じまいの手続きはできますか?
はい、できます。改葬許可申請はご本人(墓地の使用者または遺族)が手続きする必要があります。一人暮らしの方でも申請自体は個人で行うことができます。お寺との交渉や石材店の選定が不安な場合は、墓じまいの専門業者や行政書士に相談する方法もあります。手続き全体の流れに不安がある場合は、まず窓口に事前電話で確認することから始めましょう。
Q5. 遺骨が複数人分ある場合、手続きはどうなりますか?
遺骨が複数人分ある場合は、1体につき1枚の改葬許可証が必要です。申請の際に何体分かを確認した上で、必要な枚数分の申請書を提出します。同時に申請できますので、窓口に事前に枚数を伝えて書類を準備しましょう。
まとめ
杉並区での墓じまいについて、背景から手続き・費用・補助金・供養先の選び方まで解説しました。要点を整理します。
- 杉並区では単身世帯率58.6%(全国38.0%)・生涯未婚率24.2%(全国19.7%)と全国平均を大きく上回り、後継者不在を理由とした墓じまいの相談が増えています。核家族化・高齢化も背景にあります
- 墓じまいは「家族への相談→お寺・霊園への連絡→改葬先の確保→行政手続き→解体・撤去→納骨」の順に進めます。改葬先を先に決めておくことが手続きの基本です
- 改葬許可申請の窓口は杉並区役所 区民部 住民課(TEL 03-5307-0624)です。必要書類は①改葬許可証交付申請書②改葬先の受入証明書が基本です。事前の電話確認で書類不備を防ぎましょう
- 墓じまい費用の総額は30〜150万円程度が目安です。解体・撤去費用は「10万円未満」と「30〜50万円」が各19.2%と最多(経験者n=52)で、相見積もりが節約の基本です
- 2026年時点で杉並区に墓じまい専用の補助金はありません。都立霊園(小平霊園・多磨霊園など)にお墓がある場合は、東京都の施設変更制度が利用できます
- 墓じまい後の供養先は永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨の4つから、費用・アクセス・宗教的なご要望をもとにご家族で話し合って決めることをおすすめします
墓じまいは「一度決めたら後戻りできない」手続きです。費用の見積もりやお寺・石材店への相談は、自分が元気なうちに早めに動き始めることが大切です。
墓じまいに関するお悩みは、墓じまい完全ガイドもあわせてご参照ください。





