墓じまいの改葬先として、樹木葬を選ぶ方が増えています。「後継者がいないのでお墓の管理を任せたい」「自然に還るかたちで供養したい」という方にとって、樹木葬は有力な選択肢の一つです。
とはいえ、「実際にどう手続きを進めればいいの?」「費用はいくらかかるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、墓じまい後に樹木葬へ改葬するための手続きの流れ・費用の目安・霊園を選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
墓じまい全体の流れについては、墓じまい完全ガイドもあわせてご覧ください。
樹木葬とは?墓じまいの改葬先として選ばれる理由
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標として遺骨を埋葬する自然葬の一種です。多くの場合、霊園や寺院が永代にわたって管理・供養を行う「永代供養」がセットになっています。

樹木葬の主な種類
樹木葬には大きく分けて3つのタイプがあります。
里山型:自然の山林を整備した区画に埋葬するタイプ。土に還るという感覚を大切にしたい方に選ばれています。ただし、都市部から離れた場所にあることが多く、アクセスに時間がかかるケースもあります。
公園型(ガーデン型):都市近郊の霊園に花木を植えた区画を設け、その根元に埋葬するタイプ。アクセスしやすい立地が多く、現在最も普及している形式です。
個別型・合祀型:個人または家族単位で一定期間(5〜30年程度)個別に安置したのち、他の方の遺骨と一緒に合祀するのが一般的な流れです。最初から合祀する形式もあり、費用は合祀型のほうが安くなります。
樹木葬が選ばれる3つの理由
① 後継者がいなくても安心:永代供養が基本なので、お墓を継ぐ人がいない方でも霊園や寺院に管理を任せられます。
② 費用を抑えやすい:従来の一般墓と比べると、墓石代や区画購入費が不要なぶん費用を抑えられるケースがあります。
③ 自然に還るイメージが支持される:「土に還りたい」「自然の中で眠りたい」という希望を持つ方が増えており、現代の供養観にマッチした選択肢として注目されています。
時代の流れでいろいろな供養の仕方がある。他人より自分または家族にとって1番良い方向に。
墓じまい経験者 東京都・59歳・男性
墓じまいから樹木葬への改葬手続きの流れ
墓じまいで樹木葬への改葬を行う際、まず押さえておきたいのが「改葬先を先に決める」ことです。改葬許可申請には新しい供養先(樹木葬霊園)が発行する「受入証明書」が必要なため、霊園が決まっていないと手続きが進められません。

STEP1:樹木葬霊園を探し、受入証明書を取得する
インターネットや霊園の見学会を活用して、候補となる樹木葬霊園を探しましょう。実際に霊園に足を運んで見学し、環境・アクセス・費用を比較したうえで契約先を決めます。
契約が成立したら、霊園から「受入証明書(墓地使用承諾書)」を発行してもらいます。この書類が改葬許可申請に必要な重要書類です。
STEP2:現在の墓がある市区町村役場で改葬許可申請をする
改葬許可申請は、現在のお墓がある市区町村の役場に行います(改葬先の役場ではありません)。
必要な書類は主に以下の3点です。
- 改葬許可申請書:役場の窓口でもらえます
- 埋蔵証明書:現在の墓地管理者(お寺・霊園など)に発行してもらいます
- 受入証明書:STEP1で取得したものを使います
書類に不備がなければ、役場から「改葬許可証」が交付されます。
STEP3:閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石撤去を行う
改葬許可証を取得したら、いよいよ現在のお墓を閉める作業に入ります。
閉眼供養(魂抜き):お寺の場合は住職に依頼します。遺骨を取り出す前に故人の魂をお墓から抜く儀式で、お布施として3〜15万円程度が目安です。
遺骨の取り出し・墓石撤去:石材店に依頼して、お墓から遺骨を取り出してもらい、墓石を解体・撤去します。区画は更地に戻して墓地管理者に返還します。費用は10〜40万円程度です。

STEP4:樹木葬霊園へ納骨する
改葬許可証を持参して、樹木葬霊園での納骨を行います。必要に応じて「開眼供養(入魂式)」を執り行います(宗教不問の霊園では省略される場合もあります)。
以上で墓じまい・改葬の全手続きが完了です。改葬先の決定から納骨まで、通常2〜3か月程度かかることが多いため、余裕をもってスケジュールを組みましょう。
樹木葬にかかる費用の目安
樹木葬の費用は、霊園の種類・立地・個別安置の有無によって大きく異なります。また、墓じまいとセットでかかる費用も合算して把握しておく必要があります。

個別型は「〇年間個別安置→その後合祀」という形式が一般的で、安置期間が長いほど費用は高くなる傾向があります。合祀型は費用を大きく抑えられますが、他の方の遺骨と一緒に埋葬されるため、家族の意向をあらかじめ確認しておくことが大切です。
これらを合算すると、墓じまいから樹木葬への改葬にかかる総額は、合祀型で30〜80万円程度、個別型で60〜150万円程度が一つの目安です。費用の幅が広いため、樹木葬霊園と石材店の両方から見積もりを取って、実際の金額を把握してから判断することをおすすめします。
樹木葬を選ぶ際に確認すべきポイント
樹木葬霊園は全国に多数ありますが、選ぶ際に確認しておきたいポイントがあります。後悔のない選択のために、以下の4点を霊園見学時にチェックしましょう。
個別安置期間と合祀のタイミング
多くの樹木葬は「一定期間個別安置したのち合祀」という形式です。個別安置の期間は霊園によって5年・13年・33年などさまざまです。
確認すべき点は「何年間個別安置できるか」「合祀後に遺骨を返還してもらえるか(基本的に返還不可)」の2点です。将来的に遺骨を別の場所に移す可能性がある場合は、個別安置期間が長く、かつ合祀前の改葬に対応している霊園を選ぶ必要があります。
宗教・宗派の制限
一般的に樹木葬霊園は宗教・宗派を問わず利用できる霊園が多いですが、寺院が運営する場合は特定の宗旨・宗派への帰依を求められることがあります。現在お世話になっているお寺の宗派と異なる場合でも受け入れ可能かどうか、事前に確認しましょう。
立地とアクセス
里山型は自然豊かな環境が魅力ですが、最寄り駅から遠かったり、バスの本数が少なかったりするケースもあります。「年に数回お参りに来られるか」を実際の交通手段で確認しておくと、後から「お参りできない」という事態を防げます。
霊園の管理体制と将来性
霊園の経営母体(寺院運営か、宗教法人か、民間企業か)も確認しておきましょう。見学時には区画の清掃状態・植栽の管理状況など、日常的な管理が行き届いているかを目で確かめることが大切です。万が一霊園が廃業・閉鎖した際のお骨の扱いについても、契約前に確認しておくと安心です。
樹木葬が向いている人・注意が必要な人
樹木葬はすべての方に最適な選択肢というわけではありません。ご自身やご家族の状況と照らし合わせて検討してみてください。

祖父が墓を建てたがずっと家系が続くとは限らないのでお墓を建てるときは相談してほしかった。永代供養という選択もあるので。
墓じまい検討中 兵庫県・48歳・女性
よくある質問
Q. 墓じまい後すぐに樹木葬に納骨できますか?
改葬許可証が交付され次第、樹木葬霊園に納骨できます。樹木葬霊園の決定から改葬許可証の取得、閉眼供養・墓石撤去までの一連の手続きを踏まえると、通常2〜3か月程度かかることが多いです。余裕をもったスケジュールで進めましょう。
Q. 樹木葬は宗派を問わず利用できますか?
多くの樹木葬霊園は宗教・宗派不問で利用できます。ただし、寺院が運営する霊園では特定の宗旨への帰依を求められる場合があります。現在お墓があるお寺の宗派と異なる場合も受け入れ可能かどうか、契約前に霊園に確認してください。
Q. 樹木葬に納めた遺骨は後から取り出せますか?
合祀前の個別安置期間中であれば、取り出しに対応している霊園もあります。しかし、他の方の遺骨と一緒に合祀された後は、基本的に取り出すことはできません。将来的に改葬する可能性がある場合は、個別安置期間が長い霊園や取り出し対応可能な霊園を選ぶことが重要です。契約時に必ず確認しましょう。
Q. 樹木葬と永代供養墓はどう違いますか?
「永代供養墓」は、霊園や寺院が永代にわたって供養・管理してくれるお墓の総称です。樹木葬はその永代供養墓の一形態で、「樹木を墓標として遺骨を埋葬する」という埋葬スタイルを指しています。つまり、多くの樹木葬には永代供養が含まれていますが、すべての永代供養墓が樹木葬というわけではありません。
まとめ
樹木葬は、後継者がいない方や自然に還ることを望む方にとって、墓じまい後の改葬先として有力な選択肢です。
改葬手続きで最も大切なのは、「樹木葬霊園を先に決めてから手続きを進める」ことです。改葬許可申請には霊園からの受入証明書が必要なため、霊園が決まっていないと手続きが進みません。
費用は個別型・合祀型・霊園の立地によって大きく異なります。墓じまい費用と合算した総額をあらかじめ把握したうえで、複数の霊園から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
また、合祀後は遺骨を取り出せないことを家族で事前に話し合っておくことが大切です。
まずは気になる樹木葬霊園に問い合わせて、見学に行くことから始めてみてください。




