墓じまいの費用を抑えるには、まず「何にいくらかかるか」を正確に把握することが大切です。
墓じまいにかかる費用は、30万円程度で済む場合もあれば、150万円以上になることもあります。この差が生まれる理由は、墓地の立地や墓石のサイズ、寺院との関係、選ぶ供養先など、さまざまな要因によるものです。
「できるだけ費用を抑えたいけれど、何から手をつければいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、墓じまいの費用の内訳と相場をわかりやすく整理したうえで、無理なく費用を抑えるための5つのポイントを解説します。石材店の選び方や離檀料への対処法、費用が抑えやすい供養先の選び方まで、具体的にお伝えします。
墓じまい全体の流れについては、墓じまい完全ガイドもあわせてご覧ください。
墓じまいにかかる費用の内訳と相場
墓じまいの費用を抑えるための第一歩は、「何にお金がかかるのか」を把握することです。費用の内訳を知らずに進めてしまうと、後から予想外の出費が発生することもあります。
墓じまいにかかる費用の合計は、一般的に30〜150万円程度とされています。幅が広いのは、墓地の立地・墓石のサイズ・寺院との関係・選ぶ供養先によって大きく変わるためです。
当サイトが実施した調査(墓じまい実態調査2026(墓じまいパートナーズ))では、墓じまいを経験した方(52名)の費用総額は「10万円未満」と「30〜50万円」が各19.2%で最多でした。20〜30万円(17.3%)を合わせると、30万円台までに収まるケースが過半数を占めています。
墓石の撤去・解体費用
墓じまいの費用のなかで最も大きな割合を占めるのが、石材店に依頼する墓石の撤去・解体工事費です。目安は10〜40万円程度ですが、墓石が大きいほど、また墓地へのアクセスが悪い(重機が入りにくい)ほど費用が高くなる傾向があります。
離檀料
寺院墓地の場合、檀家関係を解消する際に「離檀料」をお渡しする慣習があります。相場は3〜20万円程度ですが、法的な支払い義務はなく、寺院や宗派によって異なります。なかには離檀料を求めない寺院もあります。
当サイトの調査では、実際にお寺に支払ったお布施・離檀料(支払い経験者のみ)は「5〜10万円」が最多(23.8%)でした(墓じまい実態調査2026(墓じまいパートナーズ)、2026年3月)。相場を把握したうえで、誠実に対応することが大切です。
行政手続き費用
遺骨を別の場所に移すには、「改葬許可証」の取得が法律上必要です。手続きは市区町村の窓口で行い、費用は数百円〜1万円程度と比較的安価です。書類の準備や手続きは自分で行うことができます。
新しい供養先への納骨費用
遺骨を移す先(永代供養墓・樹木葬・納骨堂など)によって費用は大きく異なります。合祀型の永代供養墓であれば数万円程度から、個別のお墓を設ける場合は数十万〜100万円以上になることもあります。
どこにお金がかかるかを整理しておくことで、どの部分で費用を抑えられるかが見えてきます。
墓じまいの費用を抑える5つのポイント
費用を抑えるためには、「なんとなく進める」のではなく、各工程でポイントを押さえて動くことが大切です。以下の5つを意識するだけで、費用が大きく変わることがあります。

①複数の石材店から相見積もりを取る
石材店によって工事費用は異なります。同じ墓地・同じ条件でも、石材店によって1.5〜2倍程度の差が出ることがあります。最低でも2〜3社から相見積もりを取り、内容を比較してから依頼先を決めることが重要です。
金額だけでなく「何が費用に含まれているか(処分費・運搬費など)」も必ず確認しましょう。
②墓地の情報を正確に伝えて見積もりをもらう
相見積もりを依頼する際は、以下の情報をできるだけ正確に伝えると、見積もりの精度が上がります。墓石の大きさ・区画の広さ、墓地の場所・重機が入れるかどうか、納骨されている遺骨の数などを事前に整理しておきましょう。
情報が不足したまま見積もりを出してもらうと、後から「追加費用が発生した」というトラブルになりかねません。
③離檀料は「相場を知った上で」誠実に対応する
離檀料は法的な支払い義務はありませんが、長年お世話になった寺院への感謝として、常識的な範囲でお渡しするのが一般的なマナーです。相場の3〜20万円を参考に、寺院との関係性を考慮して対応しましょう。
高額を請求された場合は、まず丁寧に話し合うことが先決です。それでもトラブルになるようであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
④供養先は「費用」と「希望」のバランスで選ぶ
新しい供養先を決める際、費用だけを優先すると後悔することがあります。一方、希望だけを優先すると費用が膨らむこともあります。家族全員の意見を聞いたうえで、費用と希望のバランスを取りながら選ぶことが大切です。
⑤行政手続きは自分で行う
改葬許可証の取得などの行政手続きは、自分で行うことが可能です。代行業者に依頼すると手数料がかかりますが、手続き自体は難しいものではありません。市区町村の担当窓口や墓地管理者に確認しながら進めれば、費用を節約できます。
石材店選びで費用が変わる|見積もりのコツ
墓じまいの費用を左右する大きな要因のひとつが、石材店の選び方です。同じ工事でも依頼先によって費用が変わることがあるため、慎重に比較検討することが大切です。

相見積もりは2〜3社が目安
石材店への依頼は、必ず複数社から見積もりを取るようにしましょう。1社だけに依頼すると、その金額が適正かどうかの判断ができません。2〜3社を比較することで、相場感がつかめます。
見積もりは無料で対応している石材店がほとんどです。墓地の管理者(寺院・霊園)に「付き合いのある石材店しか使えない」と言われることもありますが、必ずしもそうではない場合もあります。事前に確認してみましょう。
業者は胡散臭いところも多いみたいなのであまり信用せず、相談をするなら最低でも複数使った方がよさそう
墓じまい検討中東京都・49歳・男性
見積もりで必ず確認すべきポイント
見積書を受け取ったら、撤去・解体工事費・廃材の処分費用・墓地までの運搬費・原状回復(更地化)費用がすべて含まれているかを必ず確認してください。

これらが「別途見積もり」になっている場合、最終的な金額が大きく変わることがあります。「すべて込みでいくらか」を明確に確認することが重要です。
安すぎる業者には注意が必要
極端に安い見積もりを出してくる業者には注意が必要です。工事が雑だったり、後から追加費用を請求されたりするトラブルが起きることもあります。価格だけでなく、実績・口コミ・対応の丁寧さも含めて判断するようにしましょう。
離檀料の相場と適切な対応
寺院墓地の墓じまいで多くの方が不安に感じるのが「離檀料」です。どれくらい払えばいいのか、拒否することはできるのか、正しく理解しておくことが大切です。
離檀料の相場と法的な位置づけ
離檀料の相場は3〜20万円程度とされています。ただし、これはあくまでも慣習に基づくものであり、法的な支払い義務はありません。
長年にわたってお世話になった寺院への感謝の気持ちとしてお渡しするのが一般的なマナーです。常識的な範囲であれば、誠実に対応するのが円満な解決につながります。
高額を請求された場合の対処法
なかには相場をはるかに超える高額の離檀料を求めてくる寺院もあります。そのような場合でも、まずは感情的にならず、丁寧に話し合いを試みることが先決です。
「法的な義務はないと聞いていますが、どのようなお考えでしょうか」と穏やかに確認するだけで、解決することも少なくありません。
それでも交渉が難しい場合や、高額請求を強硬に迫られる場合は弁護士への相談をおすすめします。弁護士は法的な立場から相手方と交渉することができます。
なお、行政書士や墓じまい代行業者は書類作成・手続きのサポートは可能ですが、争いのある交渉を相手方の代理として行うことは法律上できません。トラブルに発展した場合は、必ず弁護士にご相談ください。
「払わない」ではなく「常識的な範囲で誠実に」
離檀料は法的義務がないからといって「払わない」と強硬な姿勢を取ると、寺院との関係がこじれ、手続きがスムーズに進まなくなることもあります。「払わなくていい」ではなく、常識的な範囲で誠実に対応することが、円満な墓じまいへの近道です。
費用を抑えられる供養先の選び方
墓じまい後の供養先によって、費用は大きく変わります。費用を抑えたい方は、選択肢の特徴と費用の目安を把握したうえで、家族の希望と照らし合わせながら選ぶようにしましょう。

合祀型の永代供養墓
複数の方の遺骨を一緒に埋葬するタイプの永代供養墓です。費用が比較的抑えられるうえ、管理費が不要になるケースが多く、長期的なコストを考えると選ばれやすい選択肢です。ただし、一度合祀すると遺骨を取り出すことはできません。
樹木葬
樹木を墓標とした自然葬の一形態です。個別スペースがあるものから合祀型まで、プランによって費用の幅が大きく異なります。自然の中に眠りたいという希望がある方に選ばれています。
納骨堂
屋内施設に遺骨を収蔵するタイプです。都市部に多く、アクセスの良さが特徴です。ロッカー型・仏壇型・自動搬送型など種類があり、立地やタイプによって費用が変わります。
個別型の永代供養墓
個別にスペースが確保された永代供養墓です。一定期間(13回忌・33回忌など)は個別に供養され、その後は合祀されるプランが一般的です。
「将来の維持費ゼロ」もメリットのひとつ
永代供養タイプの供養先は、初期費用は発生しますが、その後の年間管理費が不要なケースがほとんどです。従来のお墓のように毎年の管理費がかからない点も、長期的に見たときのメリットとして考慮してみてください。
家族の意見をそろえてから選ぶ
供養先を決める際は、費用だけで判断するのではなく、家族全員が納得できる形を選ぶことが大切です。後から「知らなかった」「こんな場所になるとは思わなかった」というトラブルを防ぐためにも、早い段階から家族で話し合っておくことをおすすめします。
自治体の補助金・助成金を活用する
墓じまいの費用を抑える方法のひとつとして、自治体の補助金・助成金制度があります。すべての自治体で利用できるわけではありませんが、お住まいの地域によっては費用の一部を補助してもらえる場合があります。
どんな補助制度があるの?
無縁墓の増加を防ぐことを目的として、墓じまいや改葬にかかる費用の一部を補助する自治体があります。補助の内容や金額は自治体によって大きく異なり、数万円程度の助成が受けられるケースもあります。
補助制度が設けられている場合、「対象の墓地が自治体の管轄内にある」「申請者が当該自治体の住民である」「墓地が一定期間以上管理されていない(無縁墓に近い状態)」などの条件が設けられていることが多いです。
確認の方法
お住まいの市区町村の窓口(市民課・生活環境課など)に問い合わせるか、自治体のホームページで「墓じまい 補助金」「改葬 助成」などのキーワードで検索してみてください。
制度の有無は自治体によって異なるため、「必ずもらえる」とは言えませんが、対象になる可能性がある場合は早めに確認することをおすすめします。費用を少しでも抑えるために、一度調べてみる価値は十分にあります。
よくある質問
墓じまいの費用が払えない場合はどうすればよいですか?
まずは費用の内訳を整理し、どの部分を抑えられるかを検討してみましょう。石材店の相見積もりや、費用の安い供養先を選ぶことで、総額を大幅に下げられることがあります。また、一部の自治体では補助金制度を設けている場合もあります。それでも難しい場合は、石材店に分割払いが可能かどうか相談してみることも選択肢のひとつです。
墓じまいの費用を分割払いにすることはできますか?
石材店によっては分割払いに対応している場合があります。ただし、対応の可否や条件は業者によって異なります。見積もりを依頼する際に、支払い方法についても一緒に確認しておくとよいでしょう。
石材店に依頼せずに自分で墓石を撤去することはできますか?
基本的には難しいと考えてください。墓石の撤去には専用の機材や知識が必要であり、墓地によっては石材店以外の工事を認めていない場合もあります。費用を抑えたい場合でも、撤去工事は石材店に依頼するのが安全です。
費用を抑えようと急いで進めるとどんなリスクがありますか?
費用を優先するあまり、石材店を十分に比較せずに決めてしまったり、家族や寺院との話し合いを省いてしまったりすると、後からトラブルになることがあります。費用を抑えながらも、大切な手順は省かずに進めることが重要です。
まとめ
墓じまいの費用を無理なく抑えるためのポイントを、改めて整理します。
- 費用の内訳を把握する:撤去費・離檀料・行政手続き費・納骨費の4つを把握する
- 石材店は複数社から相見積もりを取る:2〜3社を比較し、込みの金額を確認する
- 離檀料は相場を知って誠実に対応する:トラブル時は弁護士へ相談
- 供養先は費用と希望のバランスで選ぶ:合祀型永代供養墓は費用を抑えやすい
- 行政手続きは自分で行う:手続き自体は難しくなく、費用を節約できる
「費用を抑える」ことと「後悔しない墓じまい」は両立できます。ポイントを押さえて進めることで、余計な出費を防ぎながら、家族みんなが納得できる形でお墓を整理することができます。
墓じまいの進め方に不安がある方や、費用の相談をしたい方は、専門の業者に相談してみることもひとつの方法です。墓じまいパートナーズでは、費用の目安や手続きの流れについて詳しくご案内しています。



