墓じまいを進めるうえで、石材店は欠かせない存在です。墓石の撤去・解体から遺骨の取り出し、墓地の整地まで、現場の作業のほとんどを担ってくれるのが石材店です。
「石材店には何をお願いできるの?」「費用はどのくらいかかる?」「信頼できる業者をどう選べばいい?」——そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では以下の3点を詳しく解説します。
- 石材店が墓じまいのどの工程を担うのか
- 依頼できる具体的な作業内容と費用の目安
- 失敗しない石材店の選び方と注意点
墓じまい全体の流れについては、墓じまい完全ガイドもあわせてご覧ください。
墓じまいにおける石材店の役割
石材店はどの工程を担当するのか
墓じまいは大きく分けて8つのステップで進みます(墓じまいの流れ8ステップ)。このうち石材店が主に関わるのは、以下の工程です。
- ④ 石材店との契約・工事の打ち合わせ
- ⑥ 閉眼供養(魂抜き)後の遺骨の取り出し
- ⑦ 墓石の撤去・解体・墓地の整地
言い換えると、「書類手続き」や「供養先の決定」は石材店の担当外です。石材店の役割はあくまで「現場の工事」に特化しています。この点を押さえておくと、全体の段取りがスムーズになります。
石材店に相談すると良いアドバイスをもらえた。
墓じまい経験者 大阪府・67歳・男性
工事の専門家である石材店は、墓地の状況や作業上の注意点について豊富な知識を持っています。費用や段取りについて不明な点があれば、早い段階で相談してみることをおすすめします。
石材店と寺院・行政の役割分担
墓じまいには「工事」以外にも、寺院への連絡や行政への書類申請が必要です。それぞれの担い手を整理したのが以下の図です。

改葬許可申請は市区町村への届け出が必要な行政手続きで、申請書は申請者本人が記入します。石材店は基本的に申請手続きに関与しませんが、必要書類の取得方法を案内してくれるところもあります。依頼前に確認しておくとよいでしょう。
指定石材店制度とは?自分で石材店を選べないこともある
指定石材店制度の概要
石材店は自由に選べると思っている方も多いですが、墓地によっては「指定石材店制度」が設けられており、その墓地が認定した石材店以外は工事を行えない場合があります。
指定石材店制度は、主に寺院墓地や一部の公営・民営霊園で採用されています。理由としては、墓地内の施工品質を一定に保つこと、墓地の管理ルールに精通した業者に限定することなどが挙げられます。
指定石材店制度がある場合の対応
指定石材店制度がある墓地で墓じまいをする場合、指定業者の中から依頼先を選ぶことになります。「自分で探した業者に頼みたい」と思っても、墓地のルール上それが認められないケースがあります。
ただし、指定業者が複数いる場合は、その中から相見積もりを取って比較することは可能です。「指定=1社だけ」ではないことも多いため、諦めずに確認してみましょう。
まず墓地管理者に確認する
墓じまいを検討し始めたら、石材店を探す前に墓地の管理者(住職・霊園の管理事務所)へ「石材店は自分で選べるか」を確認することをおすすめします。
確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 指定石材店制度の有無
- 指定業者がある場合、どの業者が対象か
- 指定業者以外に依頼した場合の扱い
事前に確認しておくことで、手配後のトラブルや手戻りを防ぐことができます。
石材店に依頼できる具体的な作業
遺骨の取り出し
閉眼供養(魂抜き)が終わったあと、石材店が墓石を開けて骨壺を取り出します。この工程は、墓じまいの中で最も立ち会いをおすすめする場面です。
取り出しの現場では、予期しない状況が起こることがあります。たとえば——
- 知らなかった遺骨が追加で納められていた
- 想定していた遺骨が見当たらない
- 骨壺の中に水が入り込んでいた
- 遺骨が腐食・変色していた
こうした状況に直面したとき、「このまま処分してよいか」「別の骨壺に移し替えるか」など、その場で判断が必要になります。石材店に任せきりにせず、できるかぎり立ち会うようにしましょう。
遠方に住んでいるなど物理的に立ち会えない場合は、作業中の写真・動画を報告してもらうよう事前に依頼しておくことをおすすめします。
遠方にあった墓を近くに移転。供養後、石材店にお願いし写真等でやり取りしました。丁寧に骨集めをして下さいました。
墓じまい経験者 大阪府・69歳・男性
遠方でも、事前に報告方法を決めておくことで安心して任せられます。また、遺骨をすぐに自宅へ持ち帰ることが難しい場合、遺骨の郵送(送骨)に対応している石材店も多くあります。事前に相談してみてください。
墓石の撤去・解体・処分
遺骨の取り出しが終わったあと、墓石の解体・撤去作業に入ります。具体的には以下の作業が含まれます。
- 墓石(竿石・台石・外柵など)の解体
- 基礎コンクリートの撤去・掘削
- 撤去した石材・コンクリートの廃材処理
基礎コンクリートの撤去まで含まれるかどうかは、石材店や見積もりの内容によって異なります。契約前に「どこまでの作業が含まれるか」を必ず確認しましょう。
墓地の整地
すべての撤去が終わったら、墓地を更地の状態に戻します。整地が完了したら、墓地管理者(寺院・霊園)に土地を返還して、墓じまいの工事は完了です。
整地の仕上がりが不十分だと、墓地管理者から追加の費用を求められるトラブルにつながることがあります。作業後の状態をしっかり確認することが大切です。
石材店に支払う費用の目安

墓石撤去・解体費用の相場
石材店に依頼する墓石撤去・解体・整地の費用は、10〜40万円が目安です。
費用の幅が大きいのは、お墓の状態や立地によって作業量が大きく異なるためです。同じような見た目のお墓でも、石材店によって1.5〜2倍の差が出ることも珍しくありません。
費用が変わる主な要因
費用の大小に影響する要素を以下にまとめました。

当サイトの調査では、墓じまいで「費用面が大変だった」と答えた経験者は13.5%に上ります(墓じまい実態調査2026(墓じまいパートナーズ)、2026年3月、経験者n=52)。費用への不安を感じている方は多く、事前に複数社から見積もりを取って比較することが大切です。
費用全体の内訳や節約方法については、墓じまいの費用について詳しく・墓じまい費用を抑える方法もあわせてご参照ください。
信頼できる石材店の選び方
複数の石材店から相見積もりを取る
石材店を選ぶ際に最も大切なのは、2〜3社以上から相見積もりを取ることです。費用の妥当性を判断するには、複数の見積もりを比べるのが一番の近道です。
石材店は数か所に問い合わせるのが良いです。
墓じまい検討中 北海道・63歳・男性
見積書を受け取ったら、金額の合計だけでなく内訳の明細を必ず確認しましょう。墓石撤去・解体費、基礎コンクリート撤去費、廃材処理費、整地費、諸経費がそれぞれ個別に記載されているかをチェックしてください。「一式○万円」とだけ書かれた見積書は、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
石材店を選ぶときのチェックポイント
相見積もりのほかにも確認すべきポイントがあります。以下のチェックリストを参考にしてください。

墓地管理者からの紹介を活用する
寺院墓地の場合、住職から石材店を紹介してもらえることがあります。顔なじみの業者であることが多く、手続きがスムーズになるメリットがあります。
ただし、紹介された業者であっても、相見積もりを断る必要はありません。「比較検討したいので他社にも見積もりを依頼してよいか」と正直に伝えれば、問題になることはほとんどありません。
石材店とのトラブルを防ぐ注意点
遺骨の取り出し時に立ち会う
前述のとおり、墓じまいの工程の中で最も立ち会いをおすすめするのが遺骨の取り出しです。解体作業はある程度石材店に任せられますが、遺骨の取り出し時は予期しない状況が起きやすく、現場での判断が求められます。
- 想定していなかった遺骨が見つかった場合、どう扱うか
- 遺骨が著しく損傷していた場合、そのまま移すかどうか
- 骨壺が複数あった場合、どれをどこへ納骨するか
こうした判断は、後から「やり直し」がきかないことも多いです。可能であれば遺骨の取り出し工程に優先して立ち会いましょう。遠方で難しい場合は、写真・動画での記録と報告を事前に石材店へ依頼しておいてください。
契約前に確認すべきこと
工事を依頼する前に、以下の点を石材店と明確にしておきましょう。
作業範囲の確認
墓石の解体だけでなく、基礎コンクリートの撤去・整地まで含まれているかを確認します。「基礎は別途」という石材店もあります。
廃材の処分方法
撤去した墓石やコンクリートがどのように処分されるかを確認してください。適切な産業廃棄物処理が行われているかどうかも、業者の信頼性を見る目安になります。
工事後の保証・アフターフォロー
整地の仕上がりに問題があった場合や、施工後にトラブルが発生した場合の対応について確認しておきましょう。
じっくり時間をかけて、自分でも調べて石材店任せにしない。
墓じまい経験者 福岡県・70歳・男性
経験者からのアドバイスにあるように、石材店を信頼することと、自分でも内容を確認することは両立できます。わからないことは遠慮せず質問し、納得したうえで契約しましょう。
工事後に起きやすいトラブル
工事が終わったあとに問題が発覚するケースもあります。
整地が不十分だった
墓地を更地に戻す際、整地が不十分だと墓地管理者(寺院・霊園)から追加工事や費用を求められることがあります。引き渡し前に現地を確認するか、写真で記録を残しておきましょう。
遺骨の取り扱いが雑だった
遺骨の取り出しが丁寧でなく、骨壺の中身が混在してしまったというケースもあります。立ち会い、または作業記録の共有を徹底することで防げます。
こうしたトラブルを未然に防ぐために、見積もりや契約の段階で作業内容を書面で確認しておくことが重要です。
よくある質問
石材店は自分で探してもいいですか?寺院に指定があることもありますか?
墓地によって異なります。「指定石材店制度」がある墓地では、認定された業者以外は工事を行えません。詳しくは本文の「指定石材店制度とは?」をご覧ください。まず墓地の管理者(住職・霊園の管理事務所)に確認するのが確実です。
石材店に改葬許可申請の手続きを教えてもらえますか?
改葬許可申請は申請者本人が市区町村の窓口で行う行政手続きで、申請書は本人が記入します。石材店は工事が中心のため申請書の作成には関与しませんが、必要書類の案内や墓地管理者との連絡調整を行ってくれるところもあります。申請書の作成を専門家に依頼したい場合は、行政書士への相談が選択肢のひとつです。
解体後の墓石はどのように処分されますか?
撤去した墓石やコンクリートは、石材店が産業廃棄物として適切に処理します。再利用(リサイクル)されるケースもありますが、基本的には廃材として処分されます。処分方法や処分先が気になる方は、契約前に石材店へ確認しておくと安心です。廃材処理費が見積もりに含まれているかどうかも、合わせてチェックしましょう。
費用の分割払いはできますか?補助制度はありますか?
分割払いへの対応は石材店によって異なります。対応可否や条件(利子・回数など)は事前に確認してください。また、自治体によっては墓じまいに関する補助金・助成制度を設けているところもあります。居住地の市区町村窓口やホームページで確認してみましょう。
石材店選びで最も大切なことは何ですか?
複数の石材店から相見積もりを取り、費用の内訳を明細レベルで比較することが最も重要です。また、質問への対応が丁寧かどうか、作業範囲や廃材処理の説明が明確かどうかも、信頼できる業者を見極める大切なポイントです。「安ければよい」ではなく、作業の質と説明の明瞭さを総合的に判断して選びましょう。
まとめ
この記事では、墓じまいにおける石材店の役割・費用・選び方について解説しました。
- 石材店の役割:遺骨の取り出し・墓石の撤去解体・墓地の整地が主な担当。書類手続きや供養先の決定は別の担い手が行う
- 費用の目安:墓石撤去・解体・整地で10〜40万円が目安。墓の規模や立地によって費用が変わるため、複数社への相見積もりが欠かせない
- 選び方と注意点:見積もりは明細レベルで比較し、遺骨の取り出しにはできるかぎり立ち会う。契約前に作業範囲と廃材処理の方法を必ず確認する
石材店選びは、墓じまいを安心して進めるための大切なステップです。「任せきりにしない」という姿勢を持ちながら、信頼できる業者をじっくりと選んでください。
墓じまい全体の流れや費用のことを総合的に確認したい方は、墓じまい完全ガイドをあわせてご覧ください。





