墓じまいは自分でできる?手続きの流れと注意点を解説

墓じまいは自分でできる?手続きの流れと注意点を解説

小林玉喜
執筆者
小林玉喜
墓じまいパートナーズ代表

実家の墓じまいを経験したことをきっかけに、墓じまいパートナーズを創業・運営。現在は相談サポートや情報提供を通じて安心して墓じまいを進められるよう支援している。

公開:2026/3/12
更新:2026/3/12

墓じまいは、自分で進められる部分がほとんどです。行政手続き(改葬許可申請)、お寺との交渉、新しい供養先の選定——これらはすべて自分で行うことができます。唯一、石材店への依頼が必要なのは、墓石の撤去・解体工事だけです。

「業者に全部お願いしないといけないのでは?」と思っていた方も多いかもしれません。しかし、墓じまいの実態調査(経験者n=52)でも、多くの方が「大変だったが、なんとかできた」と答えています。

この記事では、墓じまいで自分でできることと業者が必要なことの違い、行政手続きとお寺への相談を自分で進める方法、自分で進める際に失敗しやすいポイントと注意点をわかりやすく解説します。

墓じまい全体の流れについては、墓じまい完全ガイドもあわせてご覧ください。

墓じまいで「自分でできること」と「業者が必要なこと」

墓じまいは大きく分けると、「手続き・交渉・選定」と「工事」の2種類の作業に分かれます。このうち工事以外のほとんどは、自分で進めることができます。

墓石は重量があり、重機や専門の技術が必要なため、個人が自力で撤去・解体を行うことはできません。また、多くの墓地では「指定石材店制度」を設けており、その墓地と契約した石材店しか工事できない場合もあります。事前に墓地管理者へ確認しておきましょう。

墓じまい実態調査2026 — 回答者の声

大変だけれども、なんとかできる。

墓じまい経験者 東京都・48歳・男性

「自分には無理かも」と感じていた方も、工事以外は十分に自力で対応できます。まずは一つひとつの手順を確認しながら進めていきましょう。

行政手続き(改葬許可申請)を自分で進める方法

墓じまいで必要な行政手続きは「改葬許可申請」です。遺骨を現在の墓から新しい供養先へ移すために必要な手続きで、市区町村役所に申請します。難しく聞こえますが、書類の種類さえ把握しておけば、自分で十分対応できます。

必要な書類と入手先

書類名

取得先

改葬許可申請書

現在の墓がある市区町村役所

埋蔵証明書

現在の墓地管理者(お寺・霊園)

受入証明書

新しい供養先(霊園・寺院など)

重要なポイント:受入証明書は新しい供養先が決まっていないと取得できません。改葬許可申請には受入証明書の提出が一般的に求められるため、必ず供養先を決めてから申請に進んでください。

手続きの流れ

手続きにかかる費用は数百円〜1,000円程度と安価です。ただし、書類の不備があると何度も役所へ足を運ぶことになるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

墓じまい実態調査2026 — 回答者の声

越境して、県をまたいであったので役所の移動許可が煩わしかった。

墓じまい経験者 愛知県・63歳・男性

現在の墓と新しい供養先が別の都道府県にまたがる場合、複数の役所との書類のやり取りが発生することがあります。余裕を持ったスケジュールで動き始めることをおすすめします。

お寺・霊園への相談と離檀交渉を自分で進める

墓じまいを決めたら、まずはお寺や墓地管理者へ連絡します。「住職にどう切り出せばいいかわからない」という不安を持つ方は多いですが、丁寧に話せば大きなトラブルになることはほとんどありません。

住職への相談のポイント

住職への連絡はなるべく早めに行いましょう。直前になってから伝えると、お寺側の準備が整わなかったり、関係がこじれたりする原因になります。相談の際に意識したい3点を挙げます。

  • 感謝の気持ちを伝える:「長年お世話になりました」という言葉を最初に添えるだけで、その後の話し合いが進めやすくなります。
  • 離檀の許可を求める必要はない:墓じまいはお寺に「許可してもらう」ものではありません。意志を伝えれば手続きを進められます。
  • 閉眼供養(魂抜き)の日程を相談する:遺骨を取り出す前に、お寺に閉眼供養(魂抜き)を依頼するのが一般的です。日程調整は早めに行いましょう。

離檀料の目安と対応

離檀料とは、檀家関係を解消する際にお寺へ渡すお布施のことです。法的な支払い義務はなく、任意で渡すものです。一般的な目安は3〜20万円程度とされています。

ただし、なかには相場を大きく上回る金額を求められるケースもあります。100万円を超えるような請求には応じる義務はなく、交渉でも解決しない場合は弁護士に相談することをおすすめします(行政書士や代行業者は、争いのある交渉の代理人にはなれません)。

墓じまい実態調査2026 — 回答者の声

手続きの煩雑さをよく調べて、考えて行いたいです。お寺、親族との話し合いが大変でした。遠方の親戚との連絡・意思確認がとても困難でした。

墓じまい検討中 京都府・66歳・女性

お寺との関係は感情が絡みやすい場面です。「交渉」というより「丁寧なご挨拶」という気持ちで臨むと、スムーズに進みやすくなります。

石材店の選び方と見積もりの取り方

墓石の撤去・解体工事は石材店に依頼します。石材店選びは費用に直結するため、慎重に進めることが大切です。

複数社から相見積もりを取る

石材店は1社だけで決めず、複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。石材店によって費用が1.5〜2倍程度異なることがあり、相見積もりを取ることで適正価格を見極められます。

ただし、墓地によっては「指定石材店制度」があり、その墓地と契約した石材店しか工事できない場合があります。事前に墓地管理者へ確認しておきましょう。

当サイトの調査(経験者n=52)では、費用について「10万円未満」と「30〜50万円」がそれぞれ約19%で最多でした。費用の幅が大きいのは、墓石の大きさや立地条件、工事の難しさによって異なるためです。(墓じまい実態調査2026(墓じまいパートナーズ)、2026年3月、経験者n=52)

見積もりで確認すべきポイント

「一式○万円」という大まかな見積もりは後からトラブルになりやすいため、各費用を明細で出してもらうよう依頼しましょう。

墓じまい実態調査2026 — 回答者の声

じっくり時間をかけて、自分でも調べて石材店任せにしない。

墓じまい経験者 福岡県・70歳・男性

石材店に任せきりにせず、費用の内訳を自分でしっかり確認することが、後悔のない墓じまいにつながります。

自分で進める際の注意点と失敗しやすいポイント

自分で墓じまいを進める際に、多くの方が引っかかりやすいポイントを3つ紹介します。事前に把握しておくだけで、余計なトラブルや手戻りを防ぐことができます。

供養先が決まる前に手続きを急がない

「まず墓じまいの手続きだけ進めて、供養先はあとで探せばいい」と考えてしまいがちですが、これは手続き上できません。改葬許可申請には新しい供養先が発行する「受入証明書」が必要なため、供養先が決まっていないと手続きが前に進まないのです。供養先探し→受入証明書取得→改葬許可申請という順番を必ず守りましょう。

親族の合意を先に取っておく

墓じまいはお墓を管理している人だけで決めるのではなく、親族全員の合意が必要です。後から「聞いていない」「反対だった」とトラブルになるケースは珍しくありません。特に遠方に住む親戚には早めに連絡を取り、合意の記録として保存しておくと安心です。当サイトの調査(検討者n=178)でも、「親族との話し合いが難しい」と感じている方は少なくありませんでした。

費用の用意は早めに

墓じまいにかかる総費用の目安は30〜150万円程度です。費用の幅が大きいのは、石材撤去費用や離檀料、新しい供養先への納骨費用など、複数の出費が重なるためです。見積もりを取ったあと費用が想定を超えていた場合に備えて、早めに資金計画を立てておくことをおすすめします。

よくある質問

Q1. 墓じまいの手続きはすべて自分でできますか?

行政手続き(改葬許可申請)・お寺への相談・供養先の選定はすべて自分で進めることができます。唯一、墓石の撤去・解体・整地工事だけは石材店への依頼が必要です。「工事以外は自分でできる」と覚えておいてください。

Q2. 改葬許可申請は難しいですか?

書類の種類が複数ありますが、難易度は高くありません。改葬許可申請書・埋蔵証明書・受入証明書の3種類が基本です。書き方がわからなければ市区町村の役所窓口で案内してもらえます。費用も数百円〜1,000円程度と安価です。時間に余裕がない場合や書類作成が苦手な方は、行政書士に代行してもらうことも可能です。

Q3. お寺に墓じまいを断られることはありますか?

墓じまい(改葬)はお寺に「許可してもらう」ものではないため、お寺が拒否することはできません。ただし、長時間お説教をいただくことや、高額の離檀料の要求、話し合いがまとまるまでに時間がかかることはあります。法外な金額(100万円を超えるような請求)の場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

Q4. 自分で手続きすると費用を安く抑えられますか?

業者に手続きを代行してもらわない分、代行費用(5〜20万円程度)を節約することはできます。ただし、書類集めや役所への申請、お寺への連絡など、自分で動く時間と手間がかかります。仕事や生活環境によっては代行業者の利用も選択肢に入れてみてください。

まとめ

墓じまいは、石材店による工事以外のほとんどを自分で進めることができます。この記事のポイントを振り返りましょう。

  • 行政手続き・お寺との交渉・供養先選びは自分でできる
  • 墓石の撤去・解体工事だけは石材店への依頼が必要
  • 手続きは「供養先を決めてから」が正しい順番
  • 親族の合意は早めに取っておく
  • 石材店は複数社に見積もりを依頼して比較する

「大変そう」と感じていた方も、一つひとつのステップを確認しながら進めれば、自分で対応できます。迷ったときや手続きが複雑になってきたときは、専門家(行政書士・弁護士・代行業者)への相談も選択肢に入れてみてください。

墓じまいの全体的な流れについては、墓じまい完全ガイドで詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

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墓じまいの流れ、費用の目安、墓じまい後の供養方法までをわかりやすく解説しています。

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