海洋葬とは、火葬後のご遺骨を粉状にして海へ還す供養の仕方のことで、海洋散骨と同じものです。 呼び名が違うだけで、行われる内容に違いはありません。
気をつけたいのは、「葬」という字がついていても、葬儀・告別式のことではない、という点です。海洋葬は、葬儀と火葬を終えたあとの「ご遺骨の行き先」の話です。
この記事では、海洋葬という言葉の意味と関連する呼び名、方法ごとの費用、そして選ばれている理由を、順番に説明していきます。
海洋葬と海洋散骨、違いはある?
結論はシンプルで、海洋葬と海洋散骨は同じものです。ご遺骨を骨とわからない粉状にして、海岸から離れた沖合で、弔いとして海へまく——この供養の仕方を、散骨業者やメディアによって「海洋葬」と呼んだり「海洋散骨」と呼んだりしています。「海洋自然葬」「海葬」といった表記が使われることもありますが、いずれも指しているものは同じです。
呼び名で迷う必要はありません。散骨業者のプラン名が「海洋葬プラン」でも「海洋散骨プラン」でも、確認すべきは名前ではなく、方法(船に乗るかどうか)と、料金に何が含まれるかです。
「自然葬」は、もう少し広い言葉
似た言葉に「自然葬」があります。海洋散骨や樹木葬をまとめてこう呼ぶことがありますが、中身は大きく違います。樹木葬は、許可を受けた墓地に埋葬する、実質的には樹木を墓標にした永代供養墓です。ご遺骨が海に還る散骨と、緑の中のお墓に納まる樹木葬——「自然」という言葉の印象でひとくくりにせず、別のものとして比べてください。
「葬」とつくけれど、葬儀のことではない
まぎらわしいのがここです。海洋葬は、お通夜や告別式のような「葬儀の形式」ではありません。葬儀と火葬はこれまでどおり行ったうえで、そのあとのご遺骨を、お墓ではなく海へ還す——という「ご遺骨の行き先」の選択肢です。
だから、「海洋葬にしたら、お葬式はどうなるの?」という心配は要りません。葬儀のかたちは家族葬でも一般葬でも、通夜を行わない直葬でも、これまでどおり自由に選べます。海洋葬が関わるのは、火葬を終えてご遺骨になったあとの段階です。

海洋葬は、どのくらい行われている?
海洋散骨の実施件数に公的な統計はありませんが、業界団体の推計があります。全国優良石材店の会(全優石)が2020年9月に発表した推計では、国内の海洋散骨は年間約25,700人。同じ発表の中で、散骨を希望する人の割合から、今後10倍以上に増える可能性があるとも推計されています。
言葉としては新しく感じられても、見送りのかたちとしては、すでに毎年多くの方が選んでいるものです。
「うちの場合はどう進むのか」など、そもそもの段階の質問こそ、気軽にお寄せください。
海洋葬の3つの方法と費用
海洋葬(海洋散骨)には、船との関わり方で3つの方法があります(金額は税込・当窓口の提携業者の料金にもとづく)。
| 方法 | かたち | 費用の帯 |
|---|---|---|
| 委託(代理)散骨 | 船に乗らず、散骨業者に託す | 4〜10万円 |
| 合同散骨 | 他のご家族と乗り合って見送る | 15〜25万円 |
| 貸切散骨 | 家族だけで船を貸し切る | 25〜40万円 |
費用を抑えたい・乗船が難しいなら委託、自分の手で見送りたいなら合同か貸切、という選び分けが基本です。委託は月1〜2回など定期的にまとめて出航する散骨業者が多く、日程は散骨業者側で決まります。合同は、散骨業者が設定した日程に複数の家族で乗り合うかたちです。
委託でも、いつ・どこで見送られたかを記した散骨証明書が届くのが一般的なので、記録は手元に残ります。貸切の場合、船の定員は数名から25名程度まで幅があり、船のグレードで料金も変わります。
どの方法でも、粉骨から散骨までの実務は散骨業者が進めてくれるので、ご家族がやることは申し込みとご遺骨の受け渡しくらいです。
当日は、どんな雰囲気?
ご家族が乗船する場合、沖合に着いたら、水に溶ける紙袋に納めたご遺骨を海面に置くように見送り、献花や黙とうの時間が設けられるのが一般的です。出航から帰港までは約1.5〜2時間が目安。しめやかさよりも、穏やかで清々しい雰囲気のお別れになった、という声が多くあります。服装は喪服ではなく平服が基本で、これは港を利用する周りの方への配慮によるマナーです。
注意したいのは、表示価格に何が含まれるか(粉骨・献花・散骨証明書など)が散骨業者ごとに大きく異なることです。プラン名や表示価格ではなく、総額で比べてください。方法ごとの詳しい内訳は海洋散骨の費用に、申し込みから当日までの流れや法律面は海洋散骨の完全ガイドにまとめてあります。
海洋葬が選ばれている理由
当窓口の調査(海洋散骨の実態調査2026・業者に依頼して海洋散骨した経験者97人・複数回答)では、海洋葬を選んだ理由は次のとおりでした。
- 故人の希望だった——72%
- 自然に還したかった——42%
- お墓の管理が要らない——35%
- お墓を継ぐ人がいない——32%
- 費用が安い——16%

1位の「故人の希望」が7割を超え、費用面は2割弱にとどまります。「安いから選ぶ」見送りではなく、「海に還りたい」という本人の想いを叶えるかたちとして選ばれているのが実態です。3位・4位の「管理が要らない」「継ぐ人がいない」は、お墓の維持が難しくなっている事情の表れで、墓じまいとあわせて海洋葬を選ぶ方も多くいます。
同じ調査では、実施後に「やってよかった」「どちらかといえばよかった」と答えた方が合わせて84%でした。
実際に、故人と海とのつながりから海洋葬を選んだ方の声です。
故郷の海へ、という選び方をした方もいます。
両親は離島の出身だった。年を取り身体が思うように動かなくなった時、もう一度行っておけば良かったと言っていた。丁度、二人が産まれた島の近くに散骨をしてくれる業者が見つかり、良かったと思う。
家で保管していた遺骨福岡県・65歳・女性
思い出の海、故郷の海、旅先で好きだった海——「あの海に還してあげたい」という気持ちが出発点になっている見送りが多くあります。海はつながっているので、遠くの海辺からでも手を合わせられる、という受け止め方をする方もいます。エリアの希望がある場合は、その海域で実施できるかどうかを散骨業者が確認するので、まず希望を伝えてみてください。
故人の希望がはっきりしていない場合は、ご家族の判断で選んで構いません。決める前に、このページをご家族・ご親族と共有して、気持ちを話し合っておくと、あとの行き違いを防げます。
ご家族と話し合うきっかけにどうぞ
海洋葬を考え始めたら
海洋葬が候補になったら、決める前に押さえておきたいことが3つあります。
1つ目は、やり直しがきかないことです。まいたご遺骨は戻せません。迷いがあるうちは、ご遺骨の一部をミニ骨壷などに残す分骨と組み合わせておけば、手を合わせる対象を手元に残せます。
分骨は、粉骨の際に取り分けてもらえるので、申し込みのときに伝えるだけで済みます。残した分の見送りは、後からいつでも選び直せます。

2つ目は、ご家族・ご親族との共有です。海洋葬はまだ新しい供養の仕方なので、受け止め方に世代差が出ることがあります。決めてから伝えるのではなく、決める前に相談する順番にすると、話がこじれにくくなります。当窓口の調査でも、散骨前の不安として「親族の理解」を挙げた方は41%いた一方、実施後には40%が「大丈夫だった」と答えています。
3つ目は、希望のエリアで実施できるかの確認です。一部の自治体には散骨への規制があり(2025年11月時点で16自治体)、実施できる海域は散骨業者が把握しています。「この海でできますか」という聞き方で、最初に確認しておきましょう。エリアの希望が特にない場合は、費用や出航のしやすさをふまえて、散骨業者と相談しながら海域を決めていけます。
この3つが決まっていれば、あとの実務——粉骨・海域・船の手配——は散骨業者側が引き受けてくれます。総額の見積もりだけ先に取ることもできるので、無料相談から始めてください。
よくある質問
葬儀をしなくても、海洋葬にできますか?
できます。海洋葬に必要なのは火葬を終えたご遺骨であって、葬儀の形式は問われません。通夜や告別式を行わない直葬(火葬式)のあとに海洋葬へ進むこともできますし、一般的な葬儀を行ったあとでも同じです。葬儀のかたちと、ご遺骨の行き先は、別々に選べます。
海洋葬に宗教は関係ありますか?
特定の宗教のかたちではないので、宗派を問わず選べます。散骨に宗教者の立ち会いは必須ではなく、お布施も通常かかりません。戒名や仏壇・法要をどうするかも、これまでどおりご家族の考えで決めて構いません。読経など宗教的なお見送りを望む場合に対応できるかは、散骨業者に相談してみてください。
お墓や納骨と、海洋葬の両方はできますか?
できます。ご遺骨を分けて、一部を海へ還し、一部をお墓や納骨堂に納める(または手元供養に残す)という組み合わせは普通に行われています。「全部をまくのは迷う」「お参りする場所も欲しい」という場合の現実的な選び方です。
海洋葬のあと、お参りはどうすればいいですか?
決まったかたちはありませんが、海に向かって手を合わせる、命日に海辺を訪れる、といったお参りを続けている方が多くいます。散骨証明書に日時と海域が記されるので、どのあたりの海で見送ったかは後からも分かります。手を合わせる対象を身近に置きたい場合は、ご遺骨の一部をミニ骨壷などの手元供養に残しておく方法があります。お墓がなくても、故人を思う習慣は続けていけます。
季節や時期に決まりはありますか?
ありません。時期を制限する決まりはなく、四十九日や一周忌などの節目に合わせる方もいれば、ご家族の都合で決める方もいます。当日が荒天の場合は日程を延期して実施するのが一般的で、天候による延期でキャンセル料がかかることは基本的にありません(条件は散骨業者ごとに異なります)。
「海洋葬プラン」と「海洋散骨プラン」で、中身に違いはありますか?
名前による違いはありません。見るべきは、方法(委託・合同・貸切のどれか)と、料金に粉骨・献花・散骨証明書などが含まれるかどうかです。プラン名が違っても、この2点で比べれば同じ土俵で検討できます。
まとめ|海洋葬は「海洋散骨」のこと。葬儀とは別の話
- 海洋葬=海洋散骨。呼び名が違うだけで、中身は同じ供養の仕方
- 「葬」とつくが葬儀の形式ではない。葬儀・火葬を終えたあとの「ご遺骨の行き先」の話
- 方法は3つ:委託(4〜10万円)・合同(15〜25万円)・貸切(25〜40万円)
- 選んだ理由の1位は「故人の希望」(72%)。想いを叶える見送りとして選ばれている
- 迷いがあるなら分骨と組み合わせ、決める前に家族と共有を
言葉の意味が分かったら、次に考えるのは方法選びです。委託・合同・貸切のどれが合うか、参加したい人数と予算から考えてみてください。「海洋葬」という言葉で調べ始めた段階のご相談も歓迎です。方法の選び方から、希望の海で実施できるか、総額はいくらかまで、散骨の窓口の無料相談でまとめて確認できます。

